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約76万人のスキルを掘り起こせ!「潜在保育士」こそ待機児童問題解決のカギ

保育園への入所を希望しており、入所条件を満たしているにも関わらず入所できない状態にあるというのが待機児童問題です。厚生労働省の発表によると、平成30年10月1日時点での全国の待機児童数は47,198人で、特に人口の多い都市部で問題は深刻です。待機児童解消のため政府や自治体は保育所の整備や小規模保育事業の運営支援などの取り組みを行っていますが、問題の根本的な解決には程遠いのが現状です。

そんな中、待機児童問題解決のカギとなりえるのが、およそ76万人と推定される「潜在保育士」の存在です。シェアリングサービスによって潜在保育士を活用できるようになれば、待機児童問題解決の糸口が見えてくるのではないでしょうか。

目次

なぜ保育士として就業しないのか

潜在保育士とは、保育士資格を持ち保育士登録されているが社会福祉施設等で勤務していない保育士を指します。資格があるのに、なぜ保育士として就業しないのでしょうか。

厚生労働省の調査によると、保育士としての就業を希望しない理由として、「賃金が希望と合わない」(47.5%)、「自身の健康・体力への不安」(39.1%)、「休暇が少ない・休暇が取りにくい」(37.0%)などの理由が挙げられています。また、現役保育士による職場の改善希望として、「給与・賞与等の改善」(59.0%)をはじめ、「事務・雑務の軽減」(34.9%)、「未消化(有給等)休暇の改善(31.5%)」が挙げられている点にも注目すべきでしょう。

回答からは、保育士が求めるのは「業務内容に見合った報酬」と「柔軟な働き方」だということが読み取れます。現役保育士の離職を防ぎ、潜在保育士の復職を促すには、この二点に留意することが非常に重要です。

保育のスキルを活かせる働き方とは?

保育のスキルを持った78万人の人材を活かせないのは社会的に大きな損失です。潜在保育士のリソース活かすにはまず、保育士は保育園で働くものという思い込みを取り払うことが出発点となります。

株式会社ネクストビートが運営する「キズナシッター」は、保育士・幼稚園教諭・看護師の有資格者のみが登録する日本初のベビーシッターマッチングサービスです。ベビーシッターの専業サービスとしては初めて、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が運用するシェアリングエコノミー認証を取得。シッティングの対象年齢は0~12歳で、依頼者の自宅等での見守り保育や各種送迎サービスを提供しています。

東京都は待機児童対策として、児童が保育所に入所できるようになるまでの間、ベビーシッター利用料の一部を助成するベビーシッター利用支援事業を平成30年度から始めました。日本ではこれまでベビーシッターサービスはあまりなじみのあるものではありませんでしたが、今後利用が拡大していくことが予想されます。

潜在保育士によるベビーシッターサービスのメリット

「キズナシッター」は、子供を預けて働きたいという共働き家庭と潜在保育士をつなぐ試みとして注目されます。潜在保育士によるスキルシェアとしてのベビーシッティングには、利用者にとっても提供者にとっても様々なメリットがあります。

①安心して任せられる

ベビーシッターサービスを利用する側にとって最も重大な関心事は、安心して任せられる相手かどうかだといってよいでしょう。SNSやマッチングアプリなど、インターネット上にはベビーシッター希望者と利用者をつなぐ場は既に存在しますが、いずれもCtoCの取引であり、サービス提供者の身元や資質、資格等は担保されないのが現状です。トラブルが起こった際もプラットフォームサービスの提供者は基本的に責任を負わず、個人間で解決する必要があります。ベビーシッティングをめぐっては過去に深刻な刑事事件も発生しており、安全性の確保は不可欠です。

「キズナシッター」では、取引登録希望者一人ひとりと面談・審査を行い、資格や免許を確認するなど信頼性の確保に力を入れています。10年、20年以上の勤務歴があるベテランや園長の経験者も在籍しており、子供を安心して任せられるのが大きな魅力です。

②柔軟な働き方が可能

厚生労働省の調査からもわかるように、休暇が取りたいときに取れないというのは保育士にとって深刻な悩みです。柔軟な働き方ができないことで、家事や育児と仕事との両立が困難になれば、保育士のスキルを活かして働くことは難しいと考えざるをえなくなるでしょう。

マッチングサービスは、働く曜日や時間などを自分で決められるのが特長です。育児をしながらの就業なら、週に〇日あるいは週末だけと決めて働くこともできますし、他の仕事をしながら副業としてベビーシッティングに携わることも可能です。保育所などの施設勤務では難しい、自分らしい働き方が可能になるのです。会議や報告業務、育成計画の作成、煩雑な事務作業などの負担もなくなるので、より本質的な業務に集中できるというメリットもあります。

③一人ひとりの子供にじっくり向き合える

厚生労働省の調査によると、潜在保育士が保育士としての就業を希望しない理由として最も多いのが「責任の重さ・事故への不安」(40.0%)です。現役保育士の職場への改善希望についても、「職員数の増加」(40.4%)は「給与・賞与等の改善」に次ぐ多さです。一人で複数の児童をケアしなければならず、事故の際には責任を問われるというプレッシャーが保育士にとって深刻な精神的負荷となっていることが窺えます。業務に真面目に取り組む保育士こそ、責任感が足かせとなって就業を阻んでいる面もあるでしょう。

ベビーシッターは個別保育となるため、保育士はゆとりをもって一人ひとりの子供と向き合えます。「自分のキャパシティの範囲内でなら保育に携わってもよい」と考える潜在保育士を掘り起こすことができるのではないでしょうか。

④施設が不要

待機児童解消というと、新たな保育所の開設など保育量の拡充が真っ先に思い浮かぶでしょう。しかし実際には、保育園建設をめぐって住民の反対運動が起きた例もあり、新しい保育所の開設は容易ではありません。また、政府が整備を進める企業主導型保育所(企業内保育所)も充足率は約6割にとどまります。利用が進まない理由の一つには、通勤ラッシュのなか子供を職場まで連れていくことの困難さが挙げられます。

新しい保育所にしても企業内保育所にしても、ハコを柱とする従来型の施策では待機児童の解決には至らないことは明らかです。ベビーシッターシェアリングサービスなら居住エリアの近いシッターに依頼することが可能で、自宅でのケアが基本となるため施設は要りません。ハコに頼らず空いたリソースを活用するという意味で、まさにこれからの時代に求められるサービスといえるでしょう。

自分らしい働き方を可能にする保育士マッチングサービス

保育士マッチングサービスは、働きに出たいと望む共働き家庭のニーズを満たすとともに、潜在保育士の自己実現にもつながります。利用者・提供者の双方が自分らしい働き方をできるようになるのが大きな魅力です。個人として活躍する保育士が増えれば、社会的な注目や評価も高まり、保育士という職業への理解もより進むのではないでしょうか。

【参照】

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